| 形成外科とはどんな治療をおこなっているのかご存知でしょうか?名前は知っていてもどんな疾患を扱っているのか、ご存じない方も多いと思います。
形成外科は『かたち』を造る、整えることを仕事とする外科の1分野です。目に見えるあらゆる体の変形、色の変化を正常に戻す(時には美しくする)ために治療を行っています。生まれつきの異常や、怪我、病気などの後に生じた様々な変化(キズ痕など)などを治療し、患者さんの精神的負担を和らげ、より明るい社会生活を送っていただく(quality
of lifeを上げる)ための手助けをするのが私たち形成外科の仕事です。
つまり、体表(頭の先から足の先まで頭皮、毛髪を含む皮膚、皮下組織)を扱う外科ということとなります。特に顔面など、機能面(動き)、整容面(見た目)両方を考慮しなければならない分野の治療は得意です。
時折、語感が似ていることより『整形外科、美容外科と何が違うのか』と質問を受けることがありますので、その違いを説明させていただきます。整形外科は、骨や関節、筋肉などの体や手足を動かすことに関わる病気を対象としています。これに対し形成外科は皮膚や皮下組織の異常に対する治療を主体としています(顔の骨折に関しては形成外科が専門に治療を行います)。美容外科とは正常ではあるが、より美しくすることを目的とした外科です。形成外科は病気のある方を対象に治療を行います。しかし美容外科も形成外科もより美しくなることを追求している点は似ています。
われわれ形成外科医が扱う疾患としては以下のものがあります。
1. 先天異常(以前は奇形といわれていましたが、現在はこのように呼びます。)
唇裂、口蓋裂、小耳症、埋没耳などをはじめ眼、耳、鼻などの顔面の異常変形、合指症などの手指、足などの異常、漏斗胸、鳩胸、臍ヘルニア(でべそ)などの体幹の異常に対する手術を行います。機能面(動き)、整容面(見た目)を考慮するのみならず、成長に伴う変化にも対応した治療を行います。
2. 外傷(キズ、けが)
交通事故や労働災害などのキズ、けがを扱います。切断した指の再接着術や失った指の造指術も行います。特に顔面外傷、顔面骨骨折、新鮮顔面神経麻痺などは初期より機能的、整容的に障害の残らないよう血管、神経縫合などを含め治療を行っています。
3. 熱傷(やけど)
熱傷(やけど)もその受傷した部位により整容面、機能面を考慮した治療が必要になります。形成外科では受傷早期より瘢痕(キズ痕)が目立たないように、瘢痕拘縮(引きつれ)を起こさないように注意して加療しています。
4.瘢痕(キズ痕)、瘢痕拘縮(引きつれ)、外傷後色素沈着、ケロイド、脱毛
外傷、熱傷、さまざまな手術の後には多かれ、少なかれ瘢痕(キズ痕)、瘢痕拘縮(引きつれ)、色素沈着が生じます。場合によってはケロイドが生じることもあります。また外傷の後に脱毛がおこることもあり、特に頭部では禿頭(はげ)になってしまいます。これらが重篤な場合、患者のquality
of lifeを下げる原因となりえますので、加療を行います。また形成外科を精神外科ともよぶ者もいるように、さまざまなキズ痕、引きつれによるうつなど、精神面でのケアも行っています。手術はZ、W形成術やtissue
expander法などをおこなっております。
5. 皮膚、軟部腫瘍(あざ、できもの、しこり)
母斑、血管腫、脂肪腫、などの皮膚軟部良性腫瘍のみならず、基底細胞上皮癌から扁平上皮癌、悪性黒色腫、paget病などの皮膚軟部悪性腫瘍まで、根治治療はもちろんのこと、機能面、整容面を配慮した再建手術もおこなっています。とくに顔面に関してはunit理論(区域分節理論)を基にscarless
woundを目標に挙げ、手術を行っています。
6. 難治性潰瘍(下腿潰瘍や褥瘡)
外傷(きず)、熱傷(やけど)、褥瘡(床ずれ)、糖尿病、静脈瘤、動脈硬化、膠原病などを基礎とする難治性潰瘍の加療を行っています。今まではもう治らないと放置されていたこれら疾患も、創傷治癒理論を基に、形成外科的加療をおこなうことで治療可能となりました。当院ではWOC認定看護師とともに加療を行い、手術のみならず、在宅患者にも対応した加療をさせていただいております。
7. 巻き爪、陥入爪、そのほか爪の変形、鶏眼(うおの目)、胼胝(たこ)
巻き爪、陥入爪、鶏眼、胼胝は足に合わない靴や足の変形が原因で起きることが多く、一種の生活習慣病とも言えます。巻き爪、陥入爪は今までは手術療法が主流でしたが、長期成績で再発例が多いことが判明したため、当院ではtube
sprint法とワイヤー法を中心に行っております。この方法は痛みがほとんどなく、仕事に支障がない、再発が少ないという利点があります。反復する鶏眼、胼胝にも原因である靴に対する指導、調製も行っており、再発防止の指導も行っています。
8. 悪性腫瘍、開腹、開胸術後の皮膚軟部欠損
形成外科では様々な術後に生じた皮膚軟部組織の再建手術も行います。たとえば乳がん患者への乳房再建、縦隔洞炎への筋充填手術、腹壁欠損への再建手術などはその例です。手術は主に筋皮弁術を行っております。
9. 顔面神経麻痺
陳旧性顔面神経麻痺に対し再建手術を行っています。手術は静的再建(動きはないが見た目を左右対称にする手術、低侵襲)から動的再建(閉瞼、笑いの表情など動きを取り戻す手術、侵襲が大きいのが難点)までさまざまで、患者のquality
of lifeを回復するのに貢献しています。当院ではより低侵襲の静的再建を中心に行っておりますが、動的再建を希望される方は専門施設(東邦大学大森病院)にご紹介させていただいております。
10. 眼瞼下垂
眼瞼下垂の原因には先天性(生まれつき)や老人性(加齢によるもの)などさまざまですが、近年コンタクトレンズの長期使用による眼瞼下垂が増えています。眼瞼下垂患者では、下垂でものが見えづらいことより『よく見よう、よく見よう』と肩に力が入るため肩こりに悩まされることも多く、肩こりを主訴に来院し眼瞼下垂とわかる方もいます。当院では挙筋腱膜前転法を中心に加療を行っています。
11.腋臭症、腋窩多汗症
いわゆるワキガには腋臭症(臭いが強い汗がでる)と腋窩多汗症(汗が多い)があります。しかし汗が多い、においが強いというのは患者のメンタルな要素も含まれておりその治療は簡単ではありません。当院では本人へのカウンセリング、においの客観的評価を行った後、加療を行っております。治療方針も保存療法から手術療法まで様々選択可能です。もちろん保険診療にて行っております。
12.フットケア
フットケアといわれて皆さんは何を想像しますか?エステの一環としてのフットケアを想像される方も多いと思いますが、当院では医療行為としてメディカルフットケアをおこなっています。メディカルフットケアの内容としては主に糖尿病や透析患者などの足壊疽のリスクが高い患者に対して、予防から救肢まで、(1)足変形(2)足病変(3)血流障害(4)神経障害といった面から多角的にアプローチしています。当科では「生涯自分の足で歩く」を目標として、PTA、バイパスによる血行再建や皮弁による荷重部再建まで、内科医、外科医、皮膚科医と連携した治療を行っております。透析施設の方で、足病変にお困りの先生方もいらっしゃると思いますので、是非ご相談いただければと思っております。
>>フットケア外来開設
13.しみ、しわ、禿頭(はげ)などの整容面の問題
しみ、しわ、禿頭など、これらは皮膚の老化現象であり、人間誰しも生じうる皮膚症状です。近年、抗加齢医学(antiaging
medicine)の発達により、老化予防医療の発展は加速度的で、次々と良い治療法が開発されています。しみ、しわも薬物、レーザー、ピーリング、フォトフェイシャルなど様々な治療が、禿頭にも薬物療法、植毛、手術療法による治療法があります。当院での加療のみならず、より良い専門機器のある施設へのご紹介もさせていただいております。
このように形成外科で扱う疾患は様々です。これらでお悩みの方、ぜひ一度ご相談してください。当院では特に潰瘍、フットケアに力を入れて診察しております。また当院での加療のみならず、それら各疾患の治療に精通した施設、先生方のご紹介もさせていただきます。
スタッフ紹介
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| 菰田 拓之 |
1998年 |
東邦大学卒業、同形成外科入局 |
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2000年 |
星総合病院外科研修 |
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2002年 |
東邦大学形成外科病棟長 |
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2005年 |
日本形成外科学会専門医取得 |
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2006年 |
みさと健和病院形成外科部長
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2010年 |
日本下肢救済・足病学会評議員 |
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2012年 |
日本脈管学会認定 脈管専門医 |
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