前立腺がんについて
前立腺がんは、欧米では男性がん死亡例の約20%(肺がんに次いで第2位)を占める頻度の高いがんですが、日本では約5%と比較的頻度の少ないがんです。
日本人男性が1年間に前立腺がんと診断される人数は、人口10万人あたり28・6人(年齢調整罹患率、2004年神奈川県)で、胃がん、肺がん、結腸がんに次いで4番目、男性がん全体の12%を占めています。
年齢別では、45歳以下ではまれですが、50歳以後その頻度は増え、70代では10万人あたり約200人、80歳以上では300人以上になります。このように、前立腺がんは高齢者のがんであるといえます。
今後日本では、食事の欧米化、高齢人口の増加、腫瘍マーカーであるPSA検査の普及に伴い、前立腺がんの患者は急速に増加し、近い将来、胃がんを抜いて肺がん、大腸がんに次ぐ3番目に多いがんになると予想されています。
- がん罹患者数の将来予測
※大島 明ほか(編):がん・統計白書-2012,篠原出版新社
PSA検査について
前立腺の上皮細胞と尿道の周囲の腺から特異的につくられて分泌される糖タンパクの一種を前立腺特異抗原といいます。
英語表記のProstatic Specific Antigenの頭文字をとって、一般的にはPSAと呼ばれています。
前立腺にがんができると、このPSAの分泌量が正常の2倍以上に増えるために、早期がんの発見のスクリーニング検査として行なわれるほか、進行がんの診断や治療経過を見るうえでも大変重要な検査となっています。
PSAは、値が高くなればなるほど、前立腺がんである危険性も高くなります。明確な基準はありませんが、4.0ng/ml以下を正常、4.1〜10ng/mlをグレーゾーンといい、がんの危険性は20〜30%、10.1ng/ml以上では強くがんが疑われ、がんの危険性は50%以上になります。
PSA検査は、前立腺がんのスクリーニングとしてきわめて有効な方法ですが、前立腺がんのみに特異的なマーカーではなく、前立腺肥大症や前立腺炎でも上昇します。
- PSA測定値から前立腺がんを発見する確率
PSA測定値 |
前立腺がんを発見する確率 |
4〜10ng/mL未満 |
25〜30% |
10ng/mL以上 |
50〜80% |
100ng/mL以上 |
がんと転移が強く疑われる |